当店の壁面を飾っている有名な写真「Jazz Portrait Harlem 1958」は、義姉夫妻から開店祝いとしていただいたものです。この写真にまつわる話をします。

ART KANE「JAZZ PORTRAIT HARLEM 1958」

①奇跡的な写真
雑誌エスカイアー誌が企画し、当時新進だった写真家アート・ケインが撮ったこの写真について、「A Great Day In Harlem」というドキュメンタリー映画が1994年に作られました。あの写真が撮られるまでの裏話など、当日写真に写ったミュージシャン達の証言による大変興味深い内容です。
この写真撮影のために集まったミュージシャンは、スウィング時代からの大スターのコールマン・ホーキンス、レスター・ヤング、カウント・ベイシー等から、黄金期を迎えたモダンジャズの当時若手のスター達まで綺羅星の如きのミュージシャン58名です。当時は、ライブ後に深夜のジャムセッションにも参加するのが当たり前。寝るのは朝4時頃だったと映画の中で言っています。集合時間は朝10時と早く、そんな中で58名のものメンバーが集まったこと自体凄いことだったと思います。しかもこの写真撮影はノーギャラだったそうです。よくもまあ、これだけのメンバーが集まったものですね。まさに奇跡的。奇人で知られるセロニアス・モンクは、当日迎えにいったにもかかわらず1時間以上遅刻したと、「やっぱりね」と思えるエピソードが紹介されています。

②最年長、最年少
最年長は、ミフ・モールというトロンボーン奏者で、1898年生まれで当時60歳、1920年代から有名バンドで活躍された方だそうです。最年少は、1930年生まれのソニー・ロリンズで当時28歳。次に若いのが1929年生まれのベニー・ゴルソンで当時29歳。
写真に写っているミュージシャンで、58人中56人が亡くなって、今では、最も若かったソニー・ロリンズと次に若かったベニー・ゴルソンの二人だけになってしまいました。(現在88歳のベニー・ゴルソンは、先月も来日公演するほど元気なのは何よりです。)

③映画「ターミナル」
2004年に公開された映画「ターミナル」(監督スティーブン・スピルバーグ、主演トム・ハンクス)は、パスポートが無効になりJFK空港ターミナルに閉じ込められてしまったトム・ハンクスと、ターミナル内の従業員との交流と恋模様を描いたロマンチック・コメディです。
写真に写ったミュージシャンのサインを集め、最後の一人がベニー・ゴルソンだけとなったところで亡くなった父親の思いを果たすため、東欧の架空の国からサインをもらうためにやって来たトム・ハンクスが、JFK空港に到着した時点で、架空の国がクーデターにより消滅、入国できなくなり、ターミナル内で何か月も生活するというお話。
最後にベニー・ゴルソンが本人として登場する楽しい映画です。まだご覧になっていない方は、是非DVDでお楽しみください。(映画の詳細は、ウィキペディアの「ターミナル(映画)」で解説しています。)