◎ジャンゴ・ラインハルト(「Miner Swing」聴き比べ)

①映画「永遠のジャンゴ」

去年の11月末から公開されてた映画「永遠のジャンゴ」をご覧になったジャズファンも多いのではないかと思います。

見てのお楽しみということで、映画の内容には触れませんが、虚実とりまぜたフィクション映画です。ストーリーにも引き込まれますが、ジャンゴ・ラインハルト役のレダ・カテブの演奏シーンは、実際に彼が弾いているように、上手く撮っています。(実際の演奏はローゼンバーグ・トリオですが、レダ・カテブはこの撮影のため、一年間練習をしたそうです)ポスター画像

ジャンゴやステファン・グラッペリが参加したフランス・ホットクラブ五重奏団(Quintette Du Hot Club De France)の名演で知られる「Miner Swing」が、重要なシーンで曲名どおりSwing感をどんどん盛り上げ、延々と演奏されます。映画はナチス・ドイツのフランス侵攻時の1943年の話です。ステファン・グラッペリはジャンゴと別れ、英国で活動していた時代であり、映画でもバイオリンに代わりクラリネットが入った演奏となっています。

現在首都圏では下高井戸シネマで観ることが出来るようです。興味のある方は、お急ぎください。

 

②映画「ルシアンの青春」

「Miner Swing」はフランス・ホットクラブ五重奏団の代表曲ということで、何回も録音されていますが、私は、ステファン・
グラッペリが加わったオリジナルの五重奏団が、1937年に録音した初回録音バージョンが最も優れていると思います。

この演奏は、ルイ・マル監督の映画「ルシアンの青春」(日本公開1975年)の冒頭で、主人公が自転車を思い切り漕ぎながら、坂を下って村に帰っていくシーンで使われました。ジャズを聴き始めて数年、大学4年生だった私は、この演奏を聴いて「これは凄い」と心から感動しました。このブログのために改めて聴き返しましたが、やはりこの初回録音バージョンは最高です。(古い録音ですが、当店のステレオで聴くと、息遣いや感極まったミュージシャンの声が微かに聞こえます)

 

 

◎ステファン・グラッペリ(仲町台の隠れ家「カフェシエスタ」とステファン・グラッペリ)

Great American Music Hall

Great American Music Hall

ジャンゴ・ラインハルトは1953年に、43歳の若さで亡くなってしまいましたが、フランス・ホットクラブ五重奏団の盟友のステファン・グラッペリは1997年 89歳で亡くなるまで長く活躍しました。
私は、1989年に当時駐在していたサンフランシスコの「Great American Music Hall」で聴くことができました。当時81歳だったわけですが、歳を感じさせない立派な演奏で楽しみました。(たどたどしい英語のMCも、飄々とした味のあるものでした。)

ジャスマニアであれば、「Great American Music Hall」という名前から、カーメン・マクレーや、印象的なジャケットのカーラ・ブレイのビッグバンドのライブ録音(これは私の愛聴盤)を思いだされるのではないでしょうか。一般的なライブハウスより、やや大きめ(250~300席くらいあったように思います)で音響が良いホールでした。このホールで聴いた個人的最高ライブは、サラ・ボーンのライブ。感動ものでした。

さて、ここからがこの章の本題です。

当店から歩いて数分のビルの2Fに、週末(金~日)の夕刻から深夜だけ営業している「カフェ・シエスタ」という隠れ家的なカフェがあります。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~SIESTA/cafesiesta/

上記のURLからHPをごらんください。ご夫婦で運営されているカフェですが、このご夫婦は、ご主人がバイオリン、奥様がアコーディオン(バンドネオン)のデュオ「シエスタ」という名前で演奏を行っているプロの演奏家です。HPにあるとおり、演奏活動以外にも芸術性の高い多彩な活動をされています。

HPの中にある、「がらくた箱」の「高橋青年のステファン・グラッペリ物語」は、若き日のご主人が、ステファン・グラッペリのバイオリンに衝撃を受け
何の伝手もない中、彼に会いたいという思いだけでパリに行くというお話で始まります。1~14まで物語は続きます。(こんな人が仲町台にいたんだとビックリ仰天) それでは、下記のリンクでお楽しみください。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~SIESTA/garakuta/grappelli/young%20django.html

私は、店を開く前から、たまに「カフェ・シエスタ」で読書などしていたのですが、店を開いてから、ご夫妻と親しくさせていただいています。疲れがたまった週末に、ホッと一息つける大切な隠れ家です。(控え目に流れる音楽も洒落たものが多く、ジャズもかかります。私はこの店でRickie Lee Jonesの「Pop pop」を初めて聴き、早速コレクションに加えました)